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遺言検認/プロベート

ハワイ州プロベートシステム

ハワイ州は他の多くの州と同様、もし個人が何かしらの資産(不動産、銀行口座、株、パートナーシップ利権、有限会社株等)をその方のお名前のみで所有している状態で亡くなられた場合、その資産の所有権はプロベート(Probate、遺言検認・遺産処理)と呼ばれる司法手続きによって譲渡されます。もし個人が受取人を示す内容の遺言書を残された場合でも資産を亡くなられた方のお名前のみでの所有状態なら所有権譲渡はこのプロベートによって行なわれます。例としまして、もし個人が株資産をその方のお名前で所有し、亡くなられた場合、残されました遺産は日本の様に自動的に相続されず、プロベート司法手続きが必要となります。しかし、米国ではもし他の方のお名前(例えば、奥様やお子様)を所有株権に含まれ、亡くなられました場合、プロベート手続きを回避できます。そちらの株所有権はお名前が含まれていました方に自動的に譲渡されます。この様に、プロベートによる所有権譲渡の一番重要なキーポイントとしまして、亡くなられた故人のお名前のみでの所有をされている資産の譲渡はプロベート司法手続きが必ず要されます。

ハワイ州ではプロベートの司法手続きは検認裁判官(Probate Judge)が管理する遺言検認裁判所にて行なわれます。日本では個人が資産をその方のお名前のみで所有している状態で亡くなられた場合、遺族の方々が家族構成を記す戸籍謄本を持ち必要な行政機関等に出向いて所有権の譲渡を行なうことができます。そして登録が必要な行政機関等が遺産相続の規則に従い所有権の譲渡を行います。日本では比較的容易に短期間で故人の資産所有権の譲渡が行われます。しかし、ハワイ州では、故人がその方のお名前のみで所有している資産の譲渡は複雑で高コスト、そして1年から18ヶ月という時間がかかります。ハワイ州でのプロベート司法手続きの短所として下記の様な内容があります。

1.故人の家族はプロベート手続きをされる際に、プロベート専門の弁護士を雇わなければなりません。よって、法律業務費用が発生します。

2.検認裁判所は多忙で、ハワイ州司法裁判所のシステムの一部の為、検認裁判所の役人は検認裁判所に提出される全ての書類を調査しなければなりません。結果的に、プロベート手続きにかかる時間が1年から18ヶ月以上となります。

3.弁護士に支払う法的業務費用に加えて、検認裁判所に支払う登録費用、新聞に載せる死亡通知の費用がかかり、プロベートの最終過程においては検認裁判官の受諾書をハワイ州登記局に登録しなければなりません。

プロベート回避方法

ハワイ州では資産、特に不動産を持つ多くの方々がプロベートを避ける為、弁護士を通し取消可能信託(Revocable living trust)を作成します。取消可能信託とは、資産の所有者が署名する信託の書類を、生前にいつでも変更、修正する事が可能というを意味しています。英語で“Living Trust”と呼ばれていますのは資産所有者が生存中(=Living)に署名される書類である為です。
取消可能信託はとても便利かつ低コストで、所有権の変更をプロベートの手続きに比べ早く行なうことができます。

資産所有者が取消可能信託を作成し署名した場合、その所有者が受託者(Trustee)となります。言い換えますと、所有権が所有者から受託者として自分自身に変更される事になります。唯一の違いは、これにより法的所有権が個人所有から受託者所有に変更されるということです。受託者である所有者は、ご自身が亡くなった時の継承受託者(Successor Trustee)を指名します。この継承受託者の主な役目は所有権を資産所有者から信託で指名されている受取人(Beneficiary)へ譲渡する際、法的書類に署名する事です。取消可能信託にはプロベートの手続きはございません。取消可能信託を通じての所有権変更が比較的低コストで短期間であるのは、継承受託者がただ署名をするだけで、資産の所有権を変更する事ができるからです。そして資産が不動産の場合、署名された書類はハワイ州登記局にて登記されます。ハワイ州登記局にて所有権譲渡内容の登記が終了した時、資産所有権は取消可能信託に指名されている受取人へ譲渡されます。

例題としまして、もし住宅や他の不動産を御夫婦で所有されている場合、旦那様と奥様両方が個々の取消可能信託に署名します。通常50%の権利が旦那様、残りの50%の権利が奥様に委譲されます。通常それぞれの信託書類には、生存されている配偶者様が亡くなられるまで、他方の50%の権利を所有という内容になっております。50%の権利は所有者の一方が亡くなられても、受取人には譲渡されません。他方の50%権利を所有する所有者と両方亡くなられて初めて継承受託者により所有権が譲渡されます。この時、第3者(指名された継承受託者)が所有権譲渡書類に署名し、その所有権は受取人(亡くなられました方のお子様、又は親戚の方)へ譲渡されます。

要点をまとめますと、資産を所有されている方が亡くなられた際、取消可能信託がございますと少ない費用で、より便利に、そして低いコストで新しい所有者に資産を譲渡する事ができます。不動産資産をお持ちのハワイ在住の方々の多くは、ご自身が亡くなった時、資産を受取人に譲渡する為にこの信託をお持ちになっています。又、資産家は現在の米国遺産税法の基、税金を節約する方法として信託を設立しています。

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